FOR PRIMARY CARE PHYSICIANS

その息切れを、
診断につなぐ。

診療所での気づきから、基幹病院での精査、地域での継続診療へ。
みなとCOPD医療連携の実践ガイド。

01 / EVIDENCE

なぜ、いま拾い上げが必要か。

未診断の多さと死亡者数の推移から、日常診療でCOPDを疑う意義を考えます。

未診断の現状

気流制限があっても、
診断につながっていない。

91.6

Japan COPD CORE Studyでは、2019年にスパイロメトリーを含む健診を受けた40歳以上の102,190人を解析。気流制限を認めた4,113人のうち、COPD診断が確認されたのは346人(8.4%)でした。

残る3,767人(91.6%)にはCOPD診断が確認されず、健診での異常が診断へ結びついていない実態が示されています。

診療への示唆

喫煙歴や咳・痰・息切れに加え、過去の健診結果にも目を向けることが、精査につなぐきっかけになります。

気流制限を認めた4,113人中、COPD診断済み346人、未診断3,767人と全国推定患者数を示す図
図1|提供資料:未診断COPDの現状。画像を選択すると拡大表示します。

読み取りの注意:91.6%は研究対象集団の値で、全国の確定診断COPD患者全体を直接調べた割合ではありません。気流制限とCOPDの確定診断も同義ではありません。図右側の全国推定値は研究内の実測人数と区別して参照してください。

原著:Koga Y, et al. 2024;19:1011–1019.
死亡者数の推移

長期的な疾患負担を、
死亡者数から捉える。

16,941

提供図は1996〜2023年の日本の死亡者数を示しています。積み上げ棒がCOPD(男性・女性)、折れ線が気管支喘息です。2023年の死亡者数はCOPDが16,941人、気管支喘息が1,089人でした。

COPDは1990年代と比べて高い水準にありますが、年ごとの増減があります。「毎年一貫して増加している」とは読み取りません。

統計の読み方

これは死亡者数であり、年齢調整死亡率や個人の死亡リスクではありません。人口構成の変化や両疾患の患者数の違いもあるため、単純な重症度比較には使えません。

1996年から2023年のCOPDと気管支喘息の死亡者数推移
図2|提供資料:日本におけるCOPDと気管支喘息の死亡者数。統計年は2023年までです。
出典:厚生労働省 令和5年人口動態統計(確定数)

02 / EARLY DIAGNOSIS

気流閉塞が固定する前の
リスク層にも目を向ける

未診断例の拾い上げでは、まずCOPDとその前段階にある状態を整理します。そのうえで、日常診療で精査につなぐ入口としてCOPD-PSを活用します。

ESTABLISHED COPD

COPD

気管支拡張薬投与後
FEV1/FVC < 0.70

慢性呼吸器症状と曝露歴を確認し、他の気流閉塞疾患を除外します。

STRUCTURAL / FUNCTIONAL CHANGE

pre-COPD

閉塞基準を満たす前から
症状・構造変化を認める群

症状、CT所見、拡散能や肺機能の変化などから、将来のCOPDリスクを評価します。

PRESERVED RATIO

PRISm

FEV1/FVC ≥ 0.70
かつ %FEV1 < 80%

拘束性障害、肥満、代謝・心血管疾患なども考慮し、経時的に評価します。

GOLD 2026

増悪を「疾患活動性」として捉える

過去1年間に中等症または重症増悪を1回経験した場合もGroup Eに分類し、以後の増悪と心血管イベントを意識した治療強化を検討します。日本人では肺気腫、低BMI、フレイルにも配慮し、栄養・身体活動・併存症管理を組み合わせます。

03 / CASE FINDING

COPD-PSを、精査への入口に。

COPDとそのリスク層を念頭に、症状・喫煙歴を確認します。質問票は診断を確定するものではなく、精査につなぐきっかけとして用います。

COPD-PS質問票:息切れ、痰、活動制限、喫煙歴、年齢の5項目
図3|ご提供のCOPD-PS質問票。印刷・詳細確認には下のPDFをご利用ください。

5つの項目を確認し、
症状とスコアを合わせて判断。

  • 息切れ過去4週間に、どの程度息切れを感じたか。
  • 痰などの分泌物が出る頻度。
  • 活動への影響呼吸の問題で、以前より活動しなくなっていないか。
  • 喫煙歴・年齢生涯の喫煙経験と年齢を確認。
4点以上本連携の運用基準:基幹病院へ紹介

3点以下は診療所で経過観察し、症状の変化時に再評価します。ただし、低スコアのみでCOPDや他疾患を除外せず、症状・画像所見・臨床経過に応じて精査を検討してください。

4点以上は、みなとCOPD医療連携で定めた紹介基準です。質問票の点数のみで治療を開始せず、確定診断に必要な呼吸機能評価につなげます。

04 / REFERRAL PROTOCOL

拾い上げから、
地域での継続診療へ

COPD-PSと臨床所見から紹介を判断したら、診療情報提供書で必要な情報を共有します。紹介、精査、結果の返送、継続診療までが一つの連携です。

  1. 01

    SCREEN

    診療所でCOPD-PS

    問診票でスコアを確認。4点以上を紹介対象とします。

  2. 02

    REFER

    診療情報提供書を作成

    3枚複写。患者情報、喫煙歴、自覚症状、画像・臨床所見、現疾患、治療状況、逆紹介希望を記載します。

  3. 03

    ASSESS

    基幹病院で精査

    呼吸機能検査、画像検査などを行い、COPD、pre-COPD、ACO、喘息、その他を鑑別します。

  4. 04

    RETURN

    診断・治療方針を共有

    結果とフォロー方針を3枚目へ記載し、連携本部へFAXした後、検査結果とともに紹介元へ返送します。

  5. 05

    FOLLOW

    逆紹介・定期フォロー

    紹介元で治療を継続し、必要に応じて基幹病院が定期評価します。連携本部は件数と診断結果を集積します。

REFERRAL DOCUMENT

診療情報提供書

みなとCOPD連携で使用する3ページのPDFです。
紹介元・紹介先での記載内容を確認してご利用ください。

05 / CORE HOSPITALS

紹介先となる基幹病院

連携手順に沿って紹介する基幹病院は以下の5施設です。患者さんの希望、通院距離、病状を踏まえて選択してください。

各病院公式サイト確認日:2026年9月12日。医療連携窓口のFAXを掲載しています。紹介予約の手順は各院の公式案内をご確認ください。

基幹病院で病状に応じて検討する検査

スパイロメトリー肺気量分画・DLco胸部CTFeNO・IOS6分間歩行試験動脈血液ガス心エコー

06 / FROM CLINIC TO COMMUNITY

個々の紹介実績を、
港区の早期発見システムへ

こうした診療所と基幹病院の連携を、地域全体の早期発見へつなげます。連携本部は紹介件数、診断結果、実施検査、治療、逆紹介・フォロー状況を集積します。地域での運用実績を積み上げ、将来的にCOPD-PSを自治体健診へ導入してもらうことを目指します。

PHYSICIANS ONLY

医師対象の連携会

年3回程度

地域課題の共有、連携運用の検討、COPD診療に関する講演を行います。

開催予定・過去の会を見る ↗

参考資料・出典

  1. Koga Y, et al. Underdiagnosis of COPD: The Japan COPD CORE Study. 2024.
  2. 厚生労働省:令和5年(2023年)人口動態統計(確定数)
  3. ご提供資料:COPD-PS質問票、みなとCOPD連携の流れ、会員向け案内、COPD講演2026、診療情報提供書
  4. Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease. GOLD Report 2026.

図はご提供資料を使用しています。研究の対象・定義と当会の紹介基準を区別して記載しています。検査・治療は患者背景と各施設の診療体制を踏まえ、担当医が個別に判断してください。